HOME > 学術出版物 > zenis 日本の学問と研究 創刊号 > 情報通信による医工融合イノベーション創生 【横浜国立大学グローバルCOEプログラム】

情報通信による医工融合イノベーション創生 【横浜国立大学グローバルCOEプログラム】

ロゴ お問い合わせ
横浜国立大学 大学院工学研究院 グローバルCOE事務局
〒240-8501 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5
TEL: 045-339-4112
E-mail: gcoemict[アットマーク]ynu.ac.jp
URL: http://gcoe.mict.ynu.ac.jp/





拠点リーダー・教授  河野 隆二
横浜国立大学 大学院工学研究院



1. 拠点形成目的と概要
今日、先進国を中心に少子高齢化に伴う医療施設・従事者不足、医療過誤、医療費高騰、地域格差などが深刻な社会問題となっています。こういった問題を解決するためには、医療と工学の両方に精通した科学者・技術者・医師が不可欠です。
またそのためには、医工融合教育の推進をはかる必要があります。本拠点では医療の効率化と高度化、日本が誇る世界最先端の情報通信技術(ICT)と社会的な要請の高い先端医療を融合する新領域「医療ICT」の実現とそのための人材育成を目的とし、特に人体を取り巻く情報通信「ボディエリアネットワーク(BAN)」をコア技術に据えて教育研究を推進し、かかる問題を解決すべくイノベーションの創生を目指しています。

図


2. 組織
本プログラムでは、教育・研究・管理・倫理・ビジネスの調和がとれたグローバル拠点の形成を目指しており、そのため、卓越した複数の専門機関の連携により組織されています。すなわち、横浜国立大学が中心母体となり、横浜市立大学、情報通信研究機構(NICT)、フィンランド・オウル大学と連携し、情報・デバイス・メカ・生体・医療の融合領域に関する教育研究を行っています。連携機関の間では、様々な人材交流があり、本学の未来情報通信医療社会基盤センタ-(MICTセンター)との共同研究の推進が今後も予定されます。この連携による利点を活かし産学官連携コンソシアム主宰による標準化・法制化の主導などにも取り組んでいます。

図


3. 教育
医工融合科学技術をリードし、医療ICTのイノベーションを創生する世界最高水準の科学者・エンジニア・医師の育成を目指す本拠点の教育には、以下の4つの特長があります。
(1)ダブルレジデント制を実施
医工にまたがる知識を有するICT応用志向医師・医工エンジニアを育成するため、ダブルレジデント制を実施しています。この制度は、ある研究グループに所属する博士課程の学生が他のグループで指導を受けるもので、異なる方法論や総合力を身につけることができます。
(2)PED大学院教育制度(π型教育の略)の拡充
本学では、各専門モジュールに実務者教育を行うスタジオを設置し、学生が複数のモジュールを履修するPED大学院教育制度(π型教育の略)を日本で初めて導入しました。これを拡充し、複数のモジュールを海外機関との間で構成し、実践教育を実施します。加えて、国際インターンシップを推進し、博士号取得後、海外の機関に就職するキャリアパスを形成します。
(3)ペアリング制の導入
医療ICTを目指す学生や若手研究者の自立支援のために、専門分野が異なる学生同士が相互にメンターとして影響しあいながら共同研究を行うペアリング制を導入し、これを経済的にも支援します。
(4)ダブルディグリー制の導入
優れた学生を集め、育成するために、工学と医学の博士号を効率的に取得できるダブルディグリー制の導入を目指します。

図


4. 研究
本拠点では「医療ICT」のイノベーションを創生するため、ボディーエリアネットワーク「BAN」に関わる情報・通信・デバイスをコア技術として、情報、デバイス、メカ、生体、医療の5つの技術分野が総合的に協力し、研究を進めています。
「ボディエリアネットワーク(BAN)」は、人体内部の技術:「インプラントBAN」、人体のまわりの技術:「ウェアラブルBAN」、ネットワークとの統合技術:「ユビキタス医療」に細分化されます。
これらの研究により具体的に目指すところは、人体内外に配置されたセンサーやアクチュエータをBANによって連動させた医療システムの構築、地上・衛星ネットワークインフラによる情報の共有・処理・解析を駆使した効果的な健康診断、病気の予測や予防、ドラッグデリバリーなど常時医療、ユビキタス化など総合環境の形成です。
もっとも、技術面だけでは真の形成は不可能です。そこで技術面に止まらず、これらを可能にする医事・薬事法、電波法などの整備、技術の標準化に向けた活動も行っています。
図 研究の進め方としては、研究活動を基礎から応用に向けて3つの階層に分類し、組織的に推進しています。3つの階層とは、(1) BANコア:BANの高度化に必須な基礎理論と基礎技術の研究、(2) BANペリフェラル:BANアプリを実現するために必須な融合理論と融合技術の研究、(3) BAN アプリ:BAN 技術に基づく新たな医療システムとサービスの応用研究、臨床導入、倫理検証、産業化です。
最終的には、以下のような分野でイノベーションの創生を目指しています。
- 医療情報ネットワーク構築
- MRI癌治療
- 介護用パワーアシストロボット
- 体内インプラントナノセンサーロボット
- 遺伝子発現ネットワーク解析
- 分子マーカー診断
- 生体情報セキュリティ
- 2D、3D 医療画像情報処理
- 徘徊老人保護システム

5. 最後に
このプログラムは21 世紀COE プログラム「ICTに基づく未来社会基盤創生」の成果を医療社会基盤に発展的に集中し、本学の卓越した情報通信、デバイス、メカ、生体、情報処理の工学分野、横浜市立大学の臨床医療分野を融合し、医療ICT に関する世界最高水準の先端研究を通じた教育研究を行っています。それにより、優れた人材の育成を図り、研究の成果を上げつつあります。
そしてさらに、将来につながる教育・研究へと発展していくことを目的にしております。興味と意欲のある学生の募集等も行っております。詳細はホームページ(http://gcoe.mict.ynu.ac.jp/)をご覧下さい。
また本プログラムを推進していくにあたり、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。