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生物の環境適応と生存の戦略 【奈良先端科学技術大学院大学グローバルCOEプログラム】

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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科
バイオサイエンス研究科COEオフィス
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E-mail: bs-coe[アットマーク]bs.naist.jp
URL: http://bsgcoe.naist.jp/




拠点リーダー・教授 島本 功
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科


はじめに
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科は、学部・学科という縦割りの枠の中で行われていた生物系の研究教育を、一つの研究科として総合的に推進するために設立され、生物の諸機能を「分子と細胞レベル」で解析し、「生命現象の基本原理と生物の多様性」を明らかにする最先端の教育研究を推進してきました。21世紀COEプログラム「フロンティアバイオサイエンスの展開」では、「細胞機能を支える動的分子ネットワーク」の解析に取り組み、高い中間評価(A評価)を得ました。本グローバルCOEプログラム「フロンティア生命科学グローバルプログラム-生物の環境適応と生存の戦略-」では、これを更に発展させ、世界を先導する先端的な生命科学研究を推進する中で、国際社会で活躍できる研究者を養成する国際的に卓越した拠点を形成することを目的としています。具体的な目的は、次のように要約できます。

  • 生物の環境適応と生存の戦略の解析と統合を目指す先端科学技術分野に係わる高度な研究の推進
  • 国際社会で活躍できる研究者の養成
  • 環境問題・食料問題等の解決へ向けた社会貢献



概要

生物の環境適応と生存の戦略の教育研究の推進
3つの教育研究領域を設定して教育研究を行い、領域間で共通の原理や概念を生み出すことで、「環境と生存」に対しての理解を深め、よりよい人類の未来をつくるための改善策を見出すために貢献します。

細胞レベルの生存戦略の解析と統合
微生物、植物、動物の細胞がさまざまな環境にさらされた時に生じる細胞内の諸反応を統合的に解析し、多様な諸環境ストレスに対応する細胞内の分子ネットワークの動態とクロストークを理解します。

個体レベルの環境適応の解析と統合
細胞レベルの理解をさらに一歩進め、生物が多細胞からなる個体となったときの、細胞ネットワークの環境応答のあり方を解析し、それを統合することにより、個体としていかに環境の変化に対応するかを理解します。

環境適応と生存の戦略としての発生・分化の解析と統合
ゲノムに書き込まれた生物の発生・分化の制御システムは、生物が置かれた環境の情報に適応しながら、体作りを最適化していきます。こうした、発生・分化の制御システムと環境の相互作用を解析し、それを統合して、生物の環境適応と生存の戦略を理解します。


学生教育プログラム
国際バイオゼミナール(本拠点に招聘する海外の教育研究機関の教員による少人数集中講義・演習)とUCDでの海外研究活動インターンシップ(1ヶ月間の英語研修、UCD教員による先端生命科学ゼミと研究室研修)を実施し、研究科として単位認定を行います。また、先端生命科学の幅広い研究領域の多様な研究課題やアプローチに対しての理解と興味を深化させ、学生が広い視野を持つ機会を組織的に確保します。加えて、COE RA、SRA制度により学生の経済的支援を行います。

若手研究者の育成プログラム
国内外の優秀な若手研究者をCOE国際リサーチフェローとして雇用し、独立した研究プロジェクトに専念させます。優秀な常勤の助教に対して海外受け入れ先での共同研究を支援します。

国際教育研究ネットワークの形成
本プログラムでの新たな中心的計画として、
(1) 日本(本拠点)
(2) 中国科学院遺伝学発生生物学研究所および中国科学院大学院(CAS-IGDB)
(3) カリフォルニア大学デービス校生物科学部(UCD-CBS)
と国際ネットワークを形成し、3国の大学院学生、若手研究者、教員による合同ワークショップ・共同研究、学生及び若手研究者の短期および長期の相互派遣などにより、拠点の国際化を図ります。

図1


研究支援プロジェクト

GCOE国際シンポジウム
テーマを決めて国内外の研究者を招聘して国際シンポジウムを開催します。

GCOEセミナーの開催
随時、国内外のすぐれた研究者が学内でセミナーを行うことをサポートします。

若手研究者の雇用による教育研究の活性化
COE特任准教授として3名の優秀な研究者、そして、その共同研究者としてCOE特任助教、技術補佐員を採用し、新たな分野への展開を図っていきます。
 形態統御機構研究グループ  植物生殖遺伝学研究グループ  発生ゲノミクス研究グループ

海外若手研究者の受け入れ
広く海外から優秀な若手研究者をCOE国際リサーチフェローとして受け入れます。受け入れは3年間程度とし、いずれかの研究グループ内で独立した研究プロジェクトに専念させます。

GCOEコロキウムの開催
COE推進委員会が計画的にセミナーを開催します。

優れた研究者の招聘
国際的によく知られている研究者を1-2週間の単位で招聘し、集中講義、グループディスカッションなどを行い、主に大学院学生の研究力の向上や新しい考え方の習得を図ります。

若手研究者の海外派遣
助教などの若手研究者を海外の大学あるいは研究所に1年程度派遣し、拠点の研究テーマに即した共同研究を実施します。派遣先の研究機関では、将来の共同研究あるいは連携の可能性も探ります。

若手研究者対象の研究助成
申請のあった若手研究者に対し、審査の上研究助成金を支給します。

若手研究者の国際学会での発表支援
助教などの若手研究者に年一度の国際学会における発表(特に口頭発表)を推奨し、出張旅費を支援しています。


教育支援プロジェクト

学生・若手研究者の経済的支援
博士後期課程学生を研究支援者(COE-RA)として用します。特に優秀な学生はCOEスペシャルRA(COE-SRA)として雇用し、学生の教育研究指導の経験を積ませて将来指導者となるための技量を養成します。また、博士の学位取得後に自立した研究者としての技量を養成するための1年間程度のトレーニング制度(COEポスドク研修員)を実施します。

国際学生ワークショップの開催
毎年特定のテーマに関して、中国科学院遺伝学発生生物学研究所および中国科学院大学院(CAS-IGDB)、 カリフォルニア大学デービス校生物科学部(UCD-CBS)からそれぞれ大学院生10名前後と若手研究者を招待し、 NAIST-BSの学生も交えて3日間の合宿ワークショップを行います。

サマーキャンプの開催
研究遂行に必要なコミュニケーション能力(情報収集や研究発表、議論の能力など)の育成のために、全ての博士後期課程の学生が毎年一回淡路島に集まり、合宿形式で英語を使った研究成果の発表並びに討論を行います。

国際ゼミナール(集中講義)
博士後期課程の学生に対して招聘したカリフォルニア大学デービス校等の教員によるテーマを決めた集中ゼミナールを開講します。

国際ゼミナール(学生の海外派遣)
博士後期課程の授業の一環として学生を海外に短期間派遣して研究を行わせます。

国際ゼミナール(科学英語特別講義)
カリフォルニア大学デービス校生物科学部および英語研修センターにおいて、学生に対してヒアリングや議論に必要な会話能力のトレーニングを受けさせます。また、現地の教員による講義を実際に聴講し、研究室セミナーへの参加や発表・議論などを行わせます。

学生の国際学会での発表支援
博士後期課程学生とCOEポスドク研修員に年一度の国際学会における発表(特に口頭発表)を推奨し、出張旅費を支援しています。

図2


国際連携プロジェクト
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科、中国CAS-IGDBと米国UCD-CBSの3者からなる国際ネットワーク推進委員会を設け、電子メールでのやりとりや実際の訪問を通じて具体的な事業計画を初年度に作成しました。そして、2研究機関と恒常的な協力体制を構築し、それぞれの教育研究体制をさらに詳細に把握し、有効に機能する国際ネットワークを形成します。 具体的には学生の相互研究室訪問、学生ワークショップへの参加、国際シンポジウムの開催等の交流をはかっていきます。

写真