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高校生諸君、研究者を目指すなら医学部も候補に! 【東京医科歯科大学 水島昇】

水島 昇 教授 水島 昇 教授
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科(医学部生理学)

〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
http://www.tmd.ac.jp/med/phy2/phy2-J.html





医学部に入ったら自分の将来は医者になるしかないと思っていませんか?

実は医学部を卒業しても、将来の進路は多様です。もし生物や研究に興味があれば、是非医学部も進学先の候補として考えてみてください。医師不足が問題になっている現在、医学部を卒業しておきながら医者にならないなど不届きものだと思うかたも多いかも知れませんが、もう少し先まで考えてみましょう。
医学部には直接診療に携わる臨床医学の講座と、診療には携わらずに研究活動を中心とする基礎医学の講座があります。基礎医学講座では医学部卒業の研究者と、他の学部出身の研究者が協力して研究しています。今や医学・生命科学の研究は総力戦であり、特定の分野だけでは太刀打ちできません。また、研究にはすぐに病気の治療や診断につながるものから、今年のノーベル賞のクラゲ蛍光タンパク質のように何十年もかかって医学に欠かせないツールに成長するものまでいろいろタイプのものがあります。いずれもが私たちの財産になり、将来への投資となります。今は一見病気とは関係ないような研究であっても、そのような基礎力が医学の発展には重要なのです。これは過去の歴史が物語っています。

研究をしたいなら、わざわざ6年もかかる医学部に行かなくてもよいのではないかと思うかも知れません。しかし研究者は多様であるべきで、人間生物学としての医学を学んだ者が研究者の仲間に加わることはとても大事なことです。基礎研究に転向した人はどちらかというと「変わり者」と思われるかも知れませんが、そのような研究者が多数これまで活躍してきたのも事実です。確かに今は医者が足りないかも知れませんが、すでにその対応は始まっています。一方で、医学部出身の研究者の数も大きく減っていると考えられており、こちらはどうも対応が遅れているようです。このままでは日本の医学研究力が低下しかねません。そこで、「医学部に行って研究者になる」ということが決して変わり者のすることではなく、むしろ必要で大切なことであることをまずは知っていただき、是非将来の選択肢に加えていただきたいと思います。