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金属とプラスチックをレーザで直接接合 【大阪大学 片山聖二】

片山 聖二 教授 片山 聖二 教授
大阪大学 接合科学研究所 接合機構研究部門 レーザ接合機構学分野

〒567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘11番1号
http://www.jwri.osaka-u.ac.jp/~dpt5/





これまで、金属とプラスチックを接合するには(1) 接着剤による溶着、もしくは(2) 機械的な結合という方法が使われてきました。しかし(1) では、接着に長時間がかかる、接合強度がばらつく、はく離接着強度が弱い、VOC規制(揮発性有機化合物の排出抑制)の対象となる、適正な保管・管理が必要となる、また(2)では、設計の自由度が制限される、別の機械加工工程が必要である、接合用部品が必要である、平坦でない、などの課題がありました。
大阪大学接合科学研究所レーザ接合機構学分野(片山研究室)では、金属とプラスチックをレーザで直接接合するという画期的な接合方法「LAMP(Laser Assisted Metal and Plastic)接合」を開発しました。


1.LAMP接合の方法
プラスチックと金属の板を重ね合わせて固定保持し、プラスチック側もしくは金属側から連続またはパルスレーザを照射して、重ね部のプラスチックを溶融させ、一部気泡を発生させて接合を行います。
レーザ光透過性が高いプラスチックの場合、レーザエネルギーが金属板に充分投入され、レーザによるダメージがプラスチック表面に現れなければ、プラスチック側からレーザ照射できます。板厚2mm程度のプラスチック板の場合、レーザ透過度は通常、約70%以上必要です。レーザ透過性が低い(約60%以下)場合、金属板側からレーザを照射します。


2.LAMP接合の可能な材料など
<エンジニアリングプラスチック>
非結晶性、結晶性およびガラス繊維入り結晶性ポリアミド(PA)(ナイロン)、非結晶性ポリカーボネート(PC)、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)など
<金属材料>
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)、鉄鋼材料(SPCC)、純チタン、アルミニウム合金など


3.LAMP接合の強度
 引張せん断試験を行ったところ、接合部分近傍のプラスチック母材で破断し、LAMP接合の強度が確かめられました。接着剤による溶着と比較して、引張せん断強度は高い(特に受入れ材)ことがわかっています。また、はく離接着強度に対しても強いことが確かめられています。


図1


4.LAMP接合のメリット
LAMP接合には、以下のようなさまざまなメリットがあります。
  • 短時間で固化・強化できる
  • 自動化が容易
  • 接合部が長時間安定
  • 金属の表面状態の影響が少ない
  • はく離接着強度が高い
  • 適切な条件下で得られた接合部は強度のばらつきが少ない
  • 接着剤を用いないため揮発性有機化合物の排出を大幅に削減できる
  • 接着剤やリベットを用いないため、これらのコスト、サイズの制限がない
  • 接着剤や部品の保管、品質管理が不要
同じ原理を用いて、他材料の接合にも可能性が広がっており、現在、新しい研究を進めています。