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第5回 山中 伸弥(やまなか しんや) 「iPS細胞(人口多能性幹細胞)に関する研究」

山中 伸弥
京都大学教授

ヒトiPS細胞の作製を世界で初めて成功させた山中。
iPS細胞は人の体のどんな部分の細胞にもなれる。これは、それ以前に研究されていたES細胞と同様の性質であるが、ES細胞(胚性幹細胞)は卵子や胚などを利用して作成するため、危険性や倫理性が大きな問題となっていた。しかし山中が作製に成功したiPS細胞は人間の皮膚から作ることができる。これによって、滞っていた幹細胞研究は一気に加速した。
iPS細胞が今後もたらす人類への貢献は計り知れない。

現在、重篤な内臓疾患は移植による治療が行われているが、拒絶反応を伴うため、移植治療の大きな障壁となっていた。iPS細胞は、自分の組織から自分に必要な臓器を作ることが可能なため理論上拒絶反応のリスクはなくなる。
運動神経の再生を目指し、パーキンソン病の治療に役立てる研究も行われている。
患者自身の細胞を取り出し、患部の細胞に分化させ投与予定の薬剤の効果や毒性を試したり、筋ジストロフィーのような、研究が困難であった部分の病気の発症メカニズムを明らかにしたりする研究も進められている。

現在iPS細胞の研究は世界中で行われ、特に日本はその牽引役として先端を行く。
論文数では米国が1位だが、カギとなる主要概念に関する論文は日本から出ているものがほとんどである。
2015年までには網膜再生のiPS細胞による治療法を可能にし、2020年までには、角膜・心筋の移植やパーキンソン病の治療の臨床研究に入るスケジュールが、国を挙げて計画されている。2020年以降は臨床が本格化される見通しである。

日本、そして世界中で進められるiPS細胞研究、それを可能にしたのが山中である。

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iPS細胞 [人工多能性幹細胞(じんこうたのうせいかんさいぼう、Induced pluripotent stem cells)]
京都大学

山中 伸弥 経歴

2010年 京都大学iPS細胞研究所長
2008年 京都大学物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長
2004年 京都大学再生医科学研究所 教授(再生誘導研究分野)
2003年 奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター 教授
1999年 奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター 助教授
1996年 日本学術振興会 特別研究員
1996年 大阪市立大学医学部 助手(薬理学教室)
1993年 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF) グラッドストーン研究所(Gladstone Institute)博士研究員
1993年 大阪市立大学大学院医学研究科 博士課程 修了
1987年 国立大阪病院 臨床研修医
1987年 神戸大学医学部 卒業