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国立循環器病研究センター病院 (2014年7月16日掲載)

心臓と脳。それぞれが独自の機能を果たす人体の器官の中でも、特に生体を維持する上では要の器官です。これらは血管を介して密接につながっており、いずれかに異常が起これば、他の器官も何らかの影響を受けます。一般に心臓と血管を合わせて循環器と呼びますが、最終的には心臓・脳・血管を総体的に研究・治療することが循環器系の障害や病気の治癒や好転につながります。

このような視点から、心臓疾患と脳疾患の研究・治療を連携して行い、この分野で国内のトップに立つのが、国立循環器病研究センターです。「国の医療政策と一体となって国民の健康を守る」使命をもった、国立高度専門医療研究センター(通称ナショナルセンター)の一つであり、1977年の設立以来、国内はもとより海外の循環器病医療をリードしてきました。心血管系と脳の研究・治療機関を併設させて、総合的に研究を行っているのは、世界でも稀有な存在です。(国立循環器病研究センター も参照)

同センターの医療部門である病院は、常に最新鋭の設備と、最高の技術を備え、心臓移植や補助人工心臓の装着を始めとする高度な手術では国内トップクラスを誇っています。例えば、病院開設以来の胸部大動脈手術は3,500件、腹部大動脈手術は2,500件を超え、これらの数字は、海外においても屈指の手術件数を誇ります。小児循環器病や胎児、母体の心疾患等についても、同分野において国内の医学や治療のオピニオンリーダーとして役割を担ってきました。

救急医療における高度な治療の整備も早くから推進しており、国内外で指導的役割も果たしています。CCU:Coronary Care Unit(冠動脈疾患集中治療室)は、急性心筋梗塞の超急性期の管理を行うことを目標に30年前に設立され、日本で最も歴史のあるCCUの一つです。ここには、多くの治療ノウハウが蓄積されています。心筋梗塞患者の院内死亡率はここ20年間で年10%以下と高い救命率を達成しています。近年では、2005年に国内で急性期脳梗塞に対する静注血栓溶解療法(t-PA静注療法)が認可されてから、脳卒中急性期のチーム医療の必要性が高まっている中、院内で救急対応の意思統一を図り、月平均4例のペースで安全に確実に治療を実施しています。認可後約7年を過ぎた2012年8月現在で、325例にt-PA静注療法を行い、半数近くの症例で3カ月後に後遺障害を残さない、国内でも屈指の治療成績をあげています。これは、ヨーロッパの実績(3カ月後の完全自立患者(modified Rankin Scaleの0または1)が39%、SITS-MOST)に比べても良好です。
さらに、生活習慣病や慢性疾患に対する予防や医療モデルの確立と提示にも力を入れています。

このように、同院では、各治療部門に加え、研究所における基礎部門のスペシャリストや、病院の診療を支えるコメディカルスタッフなど、国内トップクラスのスペシャリストが終結し、治療にあたっています。

病院について

設立 

1977年

 

所在地

大阪府吹田市藤白台5−7−1

 

診療部門

部門名 診療科名 対象とする疾患
心臓血管
内科部門
冠疾患科 虚血性心疾患(狭心症、急性心筋梗塞) など
血管科 大動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病) など
心不全科 心不全、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心臓弁膜症、二次性心筋症、心膜疾患 など
肺循環科 肺動脈性肺高血圧症、静脈性肺高血圧症、急性肺血栓塞栓症、慢性肺血栓塞栓症 など
不整脈科 洞不全症候群、房室ブロック、期外収縮、心房細動・粗動、発作性上室性頻拍、QT延長症候群、ブルガダ症候群、心室頻拍、心室細動など
心臓血管
外科部門
心臓外科 虚血性心疾患(狭心症、急性心筋梗塞)、心臓弁膜症、不整脈、慢性心不全 など
血管外科 大動脈基部拡大、胸部・胸腹部・腹部大動脈瘤、急性・慢性大動脈解離、肺動脈血栓塞栓症、閉塞性動脈硬化症 など
脳血管部門 脳血管内科・脳神経内科 脳卒中(脳梗塞、脳出血)、一過性脳虚血発作、無症候性脳血管障害、無症候性頸動脈狭窄など
脳神経外科 破裂動脈瘤、未破裂動脈瘤、脳動静脈奇形、高血圧性脳内出血、急性硬膜下血腫、脳腫瘍など
小児循環器・周産期部門 小児循環器科 先天性心疾患、不整脈、肺高血圧、川崎病、心筋症、心臓腫瘍、心内膜炎、心筋炎、慢性心不全 など
小児心臓外科 心房中隔欠損、心室中隔欠損、ファロー四徴、三尖弁閉鎖、川崎病、心筋症、感染性心内膜炎など
周産期・婦人科 心臓疾患合併妊娠、脳出血・脳梗塞合併妊娠、妊娠高血圧症候群、胎児心拍数異常、胎児心疾患 など
生活習慣
部門
高血圧・腎臓科 高血圧(二次性高血圧を含む)、低血圧、腎臓病(慢性腎臓病、腎不全、糖尿病性腎症)など
糖尿病・代謝内科 糖尿病、脂質異常症、肥満症、メタボリックシンドロームなど
予防健診部 特定健診・長寿医療制度に伴う健康診査、保健指導、禁煙外来、循環器病の予防 など
移植部 拡張型心筋症、拡張相肥大型心筋症、虚血性心疾患、劇症型心筋症、心臓移植手術後 など

 

入院病床数

区分 床数 備考
一般病棟 514  
特定集中治療室 40 ICU(心臓血管外科集中治療病床) 16
    CCU(内科系心臓集中治療病床) 8
    SCU(脳卒中集中治療病床) 6
    NCU(脳血管外科集中治療病床) 4
    PICU(小児集中治療病床) 6
新生児
特定集中治療室
6 NICU  
ハイケアユニット
治療室
16 HCU  
小児入院医療
管理料病床
36    
合計 612    

建屋のべ面積
97,179平方メートル

敷地面積
77,617平方メートル

 

主な医療機器

ハイブリッド手術室システム

装置名 用途 装備室名
ハイブリット手術室対応型 心・脳血管X線撮影システム
● AlluraXper FD 20(ハイブリッドOR仕様)
(フィリップス社製)
● マグナス手術台
(マッケ社製)
● シーリングサプライユニット
(マッケ社製)
● 手術用照明器 H LED
(マッケ社製)
大動脈ステント カテ室

装置概要

ハイブリット手術室とは、手術台と心・脳血管X線撮影装置を組み合わせた手術室のことです。2011年、日本で初めて本格稼働しました。
同院のハイブリット手術室では、高精細なX線撮影により、直ちに高画質な3次元画像を作成・観察することができます。それにより血管修復の手術である大動脈ステントグラフト内挿術・経皮的大動脈弁置換術などの高度かつ先進的な手技を迅速・安全に実施することが可能となります。

 

手術用ロボットシステム

装置名 用途 装備室名
da Vinci S surgical
(米国インテュイティブ・サージカル社製)
心臓手術 第5手術室

装置概要

コンピューター制御により、内視鏡下手術を支援する装置です。胸骨正中切開をすることなく手術を行うことができるため、手術中の出血は少なくて済み、術後に大きな手術痕が残ることもありません。医師が遠隔操作するモニタには、3次元立体画像が映し出されるため、正確かつ安全に手術を行うことができます。2014年5月現在で55件の症例があります。

 

ガンマナイフ

装置名 用途 装備室名
ガンマナイフ
(形式)レクセルガンマユニット タイプ4C
(エレクタ)
定位放射線治療 ガンマナイフ室

装置概要

同院では、2002年4月からガンマナイフを稼働させています。ガンマナイフは、脳内の一点(病巣部)に201個の細かいガンマ線ビームを集中照射させる放射線治療です。 開頭手術をせずに病巣をナイフで切り取るように治療できることからこう呼ばれています。照射時に貫通する頭皮・骨・脳実質・血管・神経への影響が少なく、より低侵襲な治療を行うことができます。

今まで手術が困難であった脳の深部にある血管奇形や腫瘍に対して、負担の少ない治療が可能で、外科的手術に耐えられない患者さんや高齢者の治療にも適応できるようになりました。

 

血管撮影装置

装置名 形式 用途 装備室名
血管撮影1 Artis zee dB/C
(シーメンス)
電気生理 第1心血管造影カテーテル室
血管撮影2 Artis zee dB/C
(シーメンス)
心カテ 第2心血管造影カテーテル室

装置概要

動脈の狭窄や閉塞がないか、心臓の細部の血管をもっとも詳しく調べることができる検査です。同院の心臓カテーテル検査室には4台の心臓専用装置があります。心臓専用装置は2方向から透視・撮影を行います。狭心症、不整脈、先天性心疾患などを専門医師によって診断、治療を行なっています。なお、同院の施設は、血管撮影検査、治療での被ばく線量低減推進施設として認定されています。

血管撮影5 INFX-8000V XTBP-8100G
(東芝)
血管全般 第5撮影室

装置概要

脳血管・大血管(胸部・腹部領域)・末梢血管専用の装置は2台あります。こちらも、2方向から透視・撮影が可能です。DA、DSAの画像表示ができ、カテーテルによる診断や治療に貢献しています。血管造影、CTデータなどで3D画像を構築することで血管の走行をよりわかりやすくし、カテーテルを目的部位まで進め治療を行っています。

 

CT

装置名 形式 用途 装備室名
CT装置 Aquilion ONE TSX-301A
(東芝)
頭部、体部 撮影室7

装置概要

同院の320列CTでは他のCT装置と比べ約4倍の16cmの領域を一回転で撮影可能で、頭部血管領域のダイナミック撮影 (最速0.35秒の撮影)を容易に行うことができます。さらに従来の血管カテーテルのような撮影を非侵襲的に行うことができます。最近は逐次近似再構成システムの導入によりこれまでの約半分の被ばくで撮影が可能になりました。

CT装置 SOMATOM  Definition Flash
(シーメンス)
体部 撮影室8

装置概要

Dual-Sorce-CTはX線管と検出器が2機搭載されることにより、従来の装置の約2倍の時間分解能(75ms) を有しています。これにより従来よりも実際の「動き」をとらえた撮影が可能になっています。これまでは不十分だった高心拍や不整脈の心臓検査も詳細に行うことが可能です。また2機のX線管を使用しての 超高速2重螺旋撮影が可能となり従来の装置と比べより低被ばく検査が可能となりました。さらに、2つの管電圧を使用し、エネルギーの違いを利用した特殊な検査もこれからの診断能の向上に期待されています。

 

MRI

装置名 形式 用途 装備室名
MR装置 マグネトム Verio 3.0T
(シーメンス)
全身MRI 撮影室1(3T-MR室)

装置概要

3T装置は高い信号強度(SNR)が得られ、1.5Tに比べより短時間に高画質の画像が取得できます。この装置は磁場の均一性と人体への影響の最適化、また強度と位相の制御、均一な信号分布によって高精度な画像の均一性を実現しました。また他の3T装置よりマグネットの径が大きいため患者様の閉鎖感が和らいでいます。

 

核医学検査

装置名 形式 用途 装備室名
ガンマカメラ Bright View
(フィリップス)
SPECT等 検査室A

装置概要

核医学検査室は、心臓核医学検査に新検出器と新しいワークステーションを搭載し、高性能、高画質、高能率な Philips製の最先端シンチレーションカメラを導入し検査を行っています。特に心臓自動追従機能によりアーチファクトの少ない、高感度、高分解能の画像収集が可能です。さらに、最新の心臓解析アプリケーションにより心機能の定量解析を高精度に行うことができます。

SPECT/CT Symbia T6
(シーメンス)
SPECT/CT等 検査室C

装置概要

同院の核医学検査では、診断用CTを搭載したSPECT装置(SPECT/CT)を導入しています。この装置には核医学の診断能を向上させるためのCT装置が搭載されているため、従来よりも高画質のイメージが得られると共に、CT画像と組み合わせることで、異常部位の特定が容易となることが期待できます。また、精緻な重ね合わせによる高精度融合画像と、CT減弱補正による高画質SPECT画像が可能です。

PET/CT Biograph mCT
(シーメンス)
PET/CT等 PET A室

装置概要

PETは、生体の機能(動き)を観察することに特化した検査法です。全身を一度に検査することが可能で、臓器などが正常に働いているかを診断します。

同院では、最先端のPET技術と40列の多列検出器CTが統合されたPET/CTを2010年から導入しています。広範囲を高速かつ 高精細に撮影可能なCTは、迅速なPET検査を可能とし、負担を大幅に軽減した診断が可能です。PETにおける機能画像に、さらにCTの形態画像を重ね合わせることにより、微細な病変をより正確に把握することができます。悪性腫瘍の全身検査はもちろんのこと、循環器病診断に有用な心筋血流予備能測定や脳循環代謝測定も、さらに短時間で行えるよう研究が進められています。
サイクロトロン CYCLONE 18/9
(IBM)
RI製造 サイクロトロン室

装置概要

PET検査では放射性薬剤を用いて、放出される放射線を特殊なカメラで画像化しますが、この薬剤は、半減期が非常に短いという特徴があります。悪性腫瘍の全身検査に使用されるFDGという薬剤でも約2時間で、 さらに短いものでは約2分で放射能が半分となる放射性薬剤もあります。このような短い半減期の放射性薬剤は、病院内とくにPET検査室の近くで作成(合成)する必要があり、そのために同院では、サイクロトロンを2台保有しております。この装置から作成される放射性核種を用いて合成された放射性薬剤は、PET担当薬剤師によって院内製剤として検定が行われ、保険適用検査や臨床研究に使用されることとなります。

 

 

国立循環器病研究センター 病院
http://hospital.ncvc.go.jp/index.html