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おめでとうございます。ノーベル物理学賞に東京大学の梶田 隆章教授ら2人

スウェーデンのカロリンスカ研究所は6日、今年のノーベル物理学賞を梶田 隆章・東京大学宇宙線研究所教授ら2人に授与すると発表しました。授賞式は12月10日です。
梶田教授は、アート・マクドナルド(クイーンズ大学名誉教授(カナダ))との共同受賞で、授賞理由は、「ニュートリノに質量があることを示すニュートリノ振動の発見」です。


世界の成り立ちに迫る大発見


梶田氏は、4年間の学部課程を卒業したのち、さらに物質や自然の原理に迫りたいと、東京大学の大学院に進学。加速器実験に興味を持ち、2002年にノーベル物理学賞を受賞することになる、小柴昌俊氏に師事しました。1986年から、宇宙線と大気中の原子核が衝突することで生まれる大気ニュートリノの研究を開始。その過程で、1988年に、大気ニュートリノ中のミュー型のニュートリノが理論値の約60パーセントしか観測されず、残りの40パーセントはタウ型に変身していることを発見しました。さらに1998年、梶田氏も所属するスーパーカミオカンデの研究グループが、ミュー型のニュートリノが長距離を進む過程で約半数に減っていることも発見。ニュートリノはミュー型とタウ型に加え、電子ニュートリノの3種類(この種類をフレーバーという)がありますが、ニュートリノのフレーバーが変わるこのような現象は、ニュートリノ振動と呼ばれます。ニュートリノ振動は、ニュートリノに質量がなければ起こり得ません。
2001年には、共同受賞者であるマクドナルド氏が、カナダのサドバリーニュートリノ観測所で、太陽から地球に届く電子ニュートリノがタウ型やミュー型のニュートリノに変わっていることを突き止めました。こうして、両氏と彼らが所属する研究チームの観測によって、ニュートリノ振動が初めて実証されたのです。そして、それまでの素粒子物理学の標準理論では「ニュートリノに質量はない」と仮定されていましたが、ニュートリノの質量の存在が確かめられたのです。
ニュートリノをとらえ、その性質を明らかにするための研究は、世界中の学者たちがこぞって行っています。梶田氏の発見は、物質が秘めている謎に迫るものであり、宇宙の成り立ち、宇宙の未来に関する私たちの理解を大きく書き換えるものとして期待されています。

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ノーベル賞:物理学賞

梶田 隆章(かじた たかあき)

1977年    埼玉県立川越高等学校卒業
1981年    埼玉大学理学部物理学科卒業
1983年    東京大学大学院理学系研究科博士前期課程修了
1986年    東京大学大学院理学系研究科博士後期課程修了。理学博士
1986年    東京大学理学部助手
1988年    東京大学宇宙線研究所助手
1992年    東京大学宇宙線研究所助教授
1998年  スーパーカミオカンデ研究グループ全体で朝日賞を受賞
1999年    東京大学宇宙線研究所教授
1999年  第45回仁科記念賞 受賞
2002年  スーパーカミオカンデ研究グループ全体でパノフスキー賞を受賞
2008年    東京大学宇宙線研究所長
2012年  日本学士院賞 受賞

(更新日 2015.10.6)