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ノーベル賞

生理学・医学賞

2016年 大隅良典

1945年福岡県生まれ。1967年に東京大学教養学部を卒業、1972年に同大学大学院理学系研究科博士課程を単位取得満期退学。その後米ロックフェラー大学への留学を経て、東京大学で研究生活を送る。1988年、助教授となり初めて自身の研究室を持った際、新たな研究テーマとして当時まだ誰も行っていなかった、「酵母の液胞内の分解酵素のメカニズムの解明」を設定し、液胞内のオートファジー機能の過程を世界で初めて発見。現在に至るオートファジー研究へとつながっていく。オートファジーの分子メカニズムや生理学的な機能についての研究論文は世界中の研究者が引用しており、2013年には、トムソンロイター引用栄誉賞を受賞。また、藤原賞や京都賞、朝日賞など、栄誉ある学術賞を次々と受賞している。現在は東京工業大学栄誉教授。

2015年 大村智

1935年山梨県生まれ。1958年に山梨大学学芸学部を卒業後、東京都立墨田工業高等学校定時制で理科教諭として勤務。1960年、東京理科大学大学院理学研究科に進学し、教員と2足のわらじで研究を進める。1963年に修士号を取得。山梨大学助手、北里大学薬学部助手、ウェズリアン大学客員教授などを経て北里大学教授、北里研究所長などを務め、現在北里大学名誉教授。
研究者に転身後、土壌の微生物が生産する有用な物質の探索・研究を45年以上にわたり行ってきた。その間450種以上の化学物質を発見し、そのうち26種は薬として世界中の人々を救っている。今回ノーベル医学生理学賞授賞の対象となったのは、「エバーメクチン」という物質である。1974年に見つけた新種の細菌を共同研究相手であったメルク社に送ったところ、細菌が生産する物質がマウスの寄生虫を激減させることが確認された。動物実験を行い、エバーメクチンの効果を発見したウィリアム・C・キャンベル(アメリカのドルー大学名誉リサーチフェロー)は大村と共同受賞している。エバーメクチンから作られたイベルメクチンは、人間のオンコサカイアシス(別名河川盲目症。失明に至る感染症)や、リンパ系フィラリア症(象皮症と呼ばれる重度のむくみを引き起こす感染症)に効果がある。現在大村は、イベルワクチンの特許権を放棄しており、同ワクチンはWHOを通じて10億人以上に無償提供されてきた。また、動物薬として家畜の寄生虫駆除や感染予防にも用いられ、家畜を病気から守るという意味で人類の食糧確保にも貢献しており、大村の研究成果によって救われた人々の数は計り知れない。2014年にガードナー国際保健賞を、2015年に朝日賞を受賞。

2012年 山中伸弥

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1962年大阪府生まれ。1987年に神戸大学医学部を卒業後、国立大阪病院整形外科で臨床研修医として勤務。ある重症のリウマチ患者を担当したことがきっかけで、難病患者を救うために研究者を志すようになる。1989年大阪市立大学大学院に進学し、1993年に医学の博士号を取得する。大学院時代はほとんど寝ないで精力的に研究を行うことも多かったという。学位取得後は公募で、カリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所へ博士研究員として採用。遺伝子や、脚光を浴びる前のES細胞に関する研究を始める。1999年、奈良先端科学技術大学院大学助教授に就任したことが転機となって、iPS細胞の開発に繋がる研究を本格的に開始。2004年に京都大学へ移ったのち、2006年に世界で初めてマウスでiPS細胞を開発、2007年には人間の皮膚細胞からの作製に成功した。アルバート・ラスカー基礎医学研究賞、トムソン・ロイター引用栄誉賞など多数の受賞を経て、「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」によりノーベル医学生理学賞を、ジョン・ガードン(ケンブリッジ大学教授)と共同受賞することが決定した。現在は京都大学iPS細胞研究所所長・教授、カリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所上級研究員を併任。彼が開発に成功したiPS細胞は、自身も驚くほどの速さで研究が進んでいる。早いものでは、理化学研究所の高橋政代教授チームによる、iPS細胞を「加齢 黄斑変性症」の治療に使う臨床試験が2013年から始まる予定である。

1987年 利根川進

1939年愛知県生まれ。1963年に京都大学理学部化学科を卒業後、米カリフォルニア大学へ留学し、博士号を取得。以後続けてアメリカにて分子生物学の研究を進める。マウスの初期胚のDNAと、特定の抗体を作る成熟したマウスB細胞のDNAとを、分子生物学的に比較してみたところ、初期胚からB細胞へ分化する間に、DNA上で必要遺伝子が再編成される事を突き止めて、抗体作成の原理解明に大きく貢献した。後にその功績が認められてノーベル医学・生理学賞を受賞。近年は脳科学・神経科学の分野へ関心を広め、現在もアメリカに在住し、研究活動を続けている。