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風力発電機専用軸受・状態監視システム―日本発・世界トップクラスのベアリングメーカーが開拓する新時代の技術―


概要

風力発電は、現在欧州を中心に普及が進んでおり、それに伴って風車や発電機の製造技術が急速に向上している。
日本でも、風力発電への注目度は高く、風力発電実用化に向けて研究の機運が高まっている。これまでは、国土が急峻である、大型台風が襲来するなど、厳しい気象条件や地形の制約などをクリアしなければならなかったが、近年ではこれらの課題を解決できる技術が発達したため、日本製の風力発電機や部品製造の技術は世界から注目されるようになっている。
風力発電機専用軸受もそのような技術の一つである。

今回の記事では、日本のベアリングメーカーが開発してきた、優れた専用軸受を紹介する。また、軸受と同様に風力発電機の長寿命化に寄与する発電機用状態監視システムについてもふれたい。


風力発電の長寿命化に貢献する-高負荷能力の専用軸受


風車で使用される大型軸受を安定して市場に供給できる軸受メーカーは、現在世界でもまだ数社しかないが、日本の軸受メーカーはそれら数社の中で優位を占めている。
これらの企業が誇る業界トップクラスの技術には以下のようなものがある。

‐高負荷容量円筒ころ軸受
このベアリングは、定格寿命は従来の高速回転タイプの1.5倍、許容回転速度は従来の高負荷タイプの2倍を達成している。高速軸に用いることが可能で、長寿命化が実現されているため、誘導型の風力発電機において、増速機に使用される軸受として最適である。
巨大風車の軸受には、高い負荷能力と高速回転への耐性両方が求められるが、従来のベアリングにおいて、この2つは矛盾する性能であり、用途に合わせてどちらかに優れたタイプのベアリングを採用するのが常であった。
このベアリングでは、ころところの間に「転動体セパレータ」を採用しており、これによって、高負荷能力を持ち、かつ風車の高速回転にも耐えうる軸受を実現している。

 
‐大型絶縁セラミック軸受
ころにセラミックを用いることで、電食を防止し、また、軸受内部の発熱を抑制してグリースの長寿命化を実現した。メンテナンス費用の削減に寄与する、信頼性の高い軸受である。
これまでも、セラミック材料は溶射被膜として軸受表面などに施されてきたが、摩耗によってこの被膜が減摩するため、絶縁機能はやがて失われてしまう。セラミック軸受は、各種試験で最も優れた性能を示した窒化ケイ素を標準材料とするセラミックボールをころとして採用している。また、外輪と内輪もセラミックス製の総セラミック軸受も製造されている。特殊セラミックを材料として用いることで、耐水性、耐腐食性、絶縁性などを長期間保ち続けることが可能となった。

‐自動調心ころ軸受
軌道形状を最適化するよう設計されており、安定した回転性能が実現しています。許容調心角は1°以上、動的誤差および静的とりつけ誤差に対し高い許容能力を発揮する。
また、ラジアル方向の負荷に対して大きな耐性をもっている。
さらに、内輪の中央部分に中つばが配置され、正面からの風荷重の変化に対しても安定して確実にころを案内することができるタイプ、特殊隙間レンジで設計され、常に稼働中の内部隙間が適正に保たれるようになっているタイプなども、各メーカーが開発している。

ここで紹介している日本製のベアリングは、世界中の発電機にすでに採用されている実績も多数ある。これまでの風車では体験したことのないような性能を見せてくれるものもあるだろう。
近年は風力発電機の大型化、高出力化が進み、軸受も高い負荷能力を持った超大型のものがますます要求されていく。日本のベアリングメーカーはこれらの要求にも応えるべく、日々技術や製品を発展させている。


高効率稼働のためにー風力発電機用状態監視


最後に、風力発電機用状態監視システムについて紹介したい。
ここで紹介する風力発電機用状態監視システムは、データ収集装置と測定用センサ、そしてデータを管理・監視・分析するための各種ソフトウェアで構成されている。
データ収集装置は、世界最小クラスの小型サイズ(250×290×108mm)で設計されているので、高い省スペース性を実現。既存のナセル内へ容易に設置することができる。また、高度な防塵防水性能を有し、洋上をはじめ、広範囲な環境に対応可能である(使用温度範囲:-20℃から60℃)。
測定用センサは集められた高精度な測定データを自動診断する。さらに状態監視用各種ソフトウェアによって、遠隔地からもリアルタイムで状態を監視できるようになっている。
これらの技術により、発電機の各部位の異常を早期に検出できるばかりでなく、計画的なメンテナンスが可能になっている。このような高性能の状態監視システムを用いることで、風力発電機の稼働率低下を抑制し、またメンテナンスにかかる時間や費用を大幅に削減することができる。


ライター:Hiromi Jitsukata

2012.11.26 執筆