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東海旅客鉄道株式会社(JR東海)・超電導磁気浮上方式リニアモーターカーL0系


概要

2013年8月29日、2027年の開業を目指すリニア中央新幹線の本格的な走行試験が開始され、営業用として投入予定の車両であるL0系が姿を見せた。山梨県にある実験線をこれまでの18.4kmから42.8kmへと延伸し、同車両の目玉である時速500km以上での走行や、新幹線では不可能な4%の勾配走行など、実際の営業に向けた試験を実施していくのだ。車両の車内も営業仕様に変更され、乗り心地を良くした客室や、従来の新幹線とほとんど変わらない荷棚や窓などが設置されている。世界初の、「超電導」磁気浮上方式リニアモーターカーが乗客を乗せて走りだす日がいよいよ現実となろうとしている。


世界唯一の技術・「超電導」磁気浮上方式


リニアモーターカーの最大の特徴は、回転するモーターを使わず、直線的な駆動力を用いる点である。この特徴を端的に表して、日本では「リニア(linear)モーターカー」と呼ばれているのだ。また、一般的に私たちがイメージするリニアモーターカーは、磁力によって車体をレールから浮かせ、推進させているものが多い。L0系も浮上式のリニアモーターカーである。世界の浮上式リニアモーターカーは、磁力を得るために「常電導電磁石」を用いているが、日本では、これらの方式に加え、「超電導電磁石」による全く独自の浮上式リニアモーターカーを基礎技術から研究してきた。現在でも、超電導電磁石によるリニアモーターカーは、日本でしか走行していない。

超電導磁気浮上方式リニアモーターカー(以下、超電導リニア)は、その卓越したスピードに最大の魅力があるといっていいだろう。飛行機なみの速度で地上を走ることが可能で、2013年現在の有人最高速度は2003年に記録された時速581 kmである。時速500kmという速度は、他の方式の軌道走行車両でも実現されている速度であるが、これらの車両にとっては、これ以上は実現できない到達点の速度であるといえる。一方、超電導リニアにとって時速500kmとは、さらなる高速化を目指す上での一過程である。

超電導リニアの速度のカギは、その浮上高にある。

常電導電磁石によるリニアモーターカーは、浮上高が1cm程度であり、車両とレールのクリアランスをいかに保つかに細心の注意を払わなければならない。小石一つ落ちていても危険なのだ。また、従来の車輪鉄道は高速化の技術が進んだとはいえ、車輪とレールの摩擦の問題は障壁となり続ける。これらの車両では、時速500kmを超えた走行も、あくまで試験時の速度であり、現在の実際の営業速度は時速300kmから400kmに抑えられている。さらにこれ以上の高速化は、車体及びレールやガイドウェイ(リニアモーターカーが走行する走路)が負荷に耐えられなくなるため非常に難しいとみられている。
これらに比して、超電導リニアは10cmも浮上することができる。その類を見ない浮上高によって、走行中、車体はガイドウェイには一切接触しない。また架線やパンタグラフも不要のため、車体は空気抵抗以外の一切の抵抗を受けずに驚異的な速度で走り抜けていくことができるのだ。時速120km以下の速度では、格納されていた車輪が降りてきて、車輪走行に切り替わり、安全に車体を保持する。したがって、磁石にトラブルが起きても車輪を使って安全に停止することもできる。


人類がまだ体験したことのない技術へ


現在運行している多くの輸送機器は、高速化が進み、利便性が向上したとはいえ、基本的な技術は開発された当初の原理を踏襲している。自動車しかり、鉄道しかり、そして飛行機しかりである。超電導リニアは、一見すると鉄道の新しいタイプのように見えるが、鉄道の原理とは全く異なる新しい原理で走行する新世代の輸送機器である。地上を時速500km以上で走ることができる超電導リニアは人類がいまだ手にしたことのない新しい技術なのだ。
また、超電導リニアは、リニアモーターの駆動技術だけでなく、磁力による浮上技術にも多くの革新をもたらすことが可能であり、日本が得意としてきた工作機械分野へも応用が期待される。その他にも、航空宇宙工学分野や建築分野でも実力を発揮するだろう。

さまざまな研究が国境をまたいで、大規模な組織で行われる現在にあって、超電導リニアのような全く新規の技術を、日本が単独で開発してきたことは誇るべきことである。各国が日本発のこの技術によって、最大限にその利便性を活用し輸送技術の大きな発展と改革を図っていくことを願う。


ライター:Hiromi Jitsukata
2013.09.04 執筆


http://linear.jr-central.co.jp/index.html
(JR東海・Linear Express特設ページ)
L0系
編成 最長12両(試験時)
営業最高速度 500km/h
車両定員 先頭車24名、中間車68名
全長 299m(12両編成)
車体長 先頭車28m、中間車24.3m
車体幅 2.9m
車体高 3.1m
製造メーカー 日本車輌製造および三菱重工業