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トヨタ自動車株式会社・燃料電池自動車 MIRAI


概要

2014年12月15日、地球と人類の未来を変えるであろう新たなテクノロジーが、大きな一歩を踏み出した。

世界初の量産型ハイブリットカーを発表し、エコカー時代の幕を開けたトヨタが、今度は量産型燃料電池自動車、すなわち水素で走る全く新しい自動車を、世界で初めて発売したのである。その自動車は、新しい自動車社会の到来を予感させる、「MIRAI」の名を冠している。


「究極のエコカー」MIRAI

MIRAIはガソリンを燃焼させるのではなく、水素と酸素の化学反応による燃料電池で走行する、新しい動力を持つ自動車である。

枯渇の不安や産出地域の偏りが問題となる化石燃料と違い、水素は水を始めとする地球上のさまざまな物質から取り出すことができる。また、水素燃料を消費した際の化学反応によって排出されるのは水であり、走行時にCO2が排出されない。さらに燃料電池は、そのエネルギー変換効率のよさに大きな特徴がある。MIRAIが搭載する燃料電池は、理論的には水素の持つエネルギーの83%を電気エネルギーに変えることができる。これは現時点ではガソリンエンジンの2倍以上の高効率である。このように、燃料電池車MIRAIは優れた環境性能を備えた新しいエコカーである。

現時点では、水素を精製する過程でまだCO2が排出されているので、CO2を排出しない、より効率的な精製方法の研究・開発が進行中である。水素の製造や運搬、保存時にもCO2を全く排出しない「究極のエコカー」を目指してMIRAIは現在も発展を続けている。

 

これまでの自動車にはなかった「異次元の走り」

燃料電池自動車の新規性は、原動機と燃料の違いだけではない。走行性能も、燃料電池車ならではの進化が見られる。

燃料電池自動車ならではの音を楽しむ

燃料電池自動車では、エンジンの音や振動がないため、走りは静かな一方、ガソリン自動車にはなく電気自動車とも違う独特の加速音が、車を走らせるという期待感を高めてくれる。

走りの滑らかさ

上下運動を回転運動に変換したりギアで徐々に変速したりする必要がないため、継ぎ目のない非常に滑らかな走りが実現。また、アクセルを踏み込んだ瞬間からトルクが立ち上がり、力強くスムーズな加速を、広い車速域で発揮する。

低重心化・重量の最適レイアウト

エンジン自動車では、発熱量や車両のスペースの関係から、重たいエンジンを車両の前方か後方に配置できず、重心がどちらかに偏ってしまう。しかし燃料電池車のパワーユニットは、比較的形を自由に設計することが可能で、また、ほとんど発熱しないため、床下に配置することができる。MIRAIのパワーユニットも車の床下、中心に配置されているため、低重心化による操縦安定性と、前後重量のバランスの良さが実現されている。

ガソリン自動車並みの走行距離

エコカーの代表として現在普及が進む電気自動車にくらべ、短い充填時間で長い距離を走ることができるのも、燃料電池自動車の強みである。MIRAIの場合は、3分の充填で、約650キロメートルの走行が可能であり、これはガソリン自動車と同等である。燃料電池車の普及に向けて、燃料となる水素のステーションの設置が急務ではあるが、将来は、ガソリン自動車がガソリンスタンドで燃料を補給する光景に代わって、燃料電池自動車が水素ステーションで水素を補給する光景が一般的になることも期待されている。

 

MIRAIを可能にしたトヨタの技術力

燃料電池自動車の開発で特に大きなハードルとなっていたのが、電池の材料として使われるプラチナである。水素と酸素の化学反応を起こすために必須の材料で、車一台あたり約100グラムが必要である。それゆえに自動車製造のコストが高くなる原因となっている。同社では、燃料電池の小型化をすすめ、使用するプラチナを開発当初の3分の1まで減らすことに成功した。

その他にも、MIRAIには数々の「世界初」「世界最高」となる先端技術が搭載されている。燃料電池の心臓ともいえるFC(Fuel Cell=燃料電池)システムを始めとする、多くのパーツを自社で開発し、高い技術を誇る自動車メーカーとしてのこだわりを注ぎ込んだ。

例えば、燃料となる水素を貯蔵する70MPa高圧水素タンクも、自社開発によるものであり、世界トップレベルのタンク貯蔵性能5.7wt%を実現している。この高圧に耐えうる設計として、タンクは、水素を封じ込めるプラスチックライナーの外側に、耐圧強度を確保する炭素繊維強化プラスチック層、表面を保護するガラス繊維強化プラスチック層を重ねた三層構造を採用し、安全性を高めている。さらに、炭素繊維強化プラスチック層は軽量化にも成功している。

 

水素社会の先導を担う

水素は、宇宙にもっとも多く存在し、地球上でも様々な物質の構成要素となっている、私たちになじみ深い元素のひとつ。近年、エネルギー源としての水素は、人類のエネルギー構造を大きく変える存在として、その可能性が注目されている。そして、化石燃料や核燃料に代わり水素からエネルギーを得る、「水素社会」の実現に向け、我が国も急ピッチで研究・実用化を進めている。


エネルギー源としての水素の利点

・いろいろな一次資源から製造が可能であるため、化石燃料や核燃料とは比較にならないほど多量に存在しているといえる。技術が確立されれば、地球上のどこでも効率的に生産することが可能であり、地政学上のリスクの低い地域から安価で調達することも難しくない

・風力や太陽光など、供給量の調整が難しい再生可能エネルギーの余剰分を水素の生成に使用すれば、エネルギー産生の効率化が期待できる

・燃料電池自動車や定置型燃料電池が、災害などの有事の際に、エネルギー供給源として使用できる。MIRAIの場合、約60kWhの大容量、かつ最大9kWの電力供給能力を持っている。給電器に接続することにで、トランク内に設定された端子からの電力を直流から交流に変換し、住宅や家電の電源としても利用できる


一方で、水素燃料の普及には課題も多く、特に、水素燃料の製造、運搬、保存の各工程でCO2が発生することが大きなハードルである。今後、発電以外のプロセスにおけるCO2の排出を抑えることで、真にクリーンなエネルギー源として、人類のエネルギー事情を変えていくであろう。

過去、世界初の量産型ハイブリッドカー・プリウスの発表で、自動車に「環境性能」という新しい価値観をもたらしたトヨタ社。同社のMIRAIが、燃料電池自動車時代の幕開けを告げ、水素社会を先導しようとしている。


ライター:Hiromi Jitsukata
2015,7,13 執筆
スペック
サイズ 全長 4,890mm
全幅 1,815mm
全高 1,535mm
車両重量 1,850-2,070kg
ホイールベース 2,780mm
トレッド フロント 1,535mm  リヤ 1,545mm
最低地上高 130mm
室内寸法 室内長 2,040mm
室内幅 1,465mm
室内高 1,185mm
乗車定員 4名
最小回転半径 5.7m
最高速度 175km/h

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