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株式会社ニシ・スポーツ・競技用ハンマー


概要


© Japanest NIPPON *写真は本文とは関係ありません。

世界に承認されるスポーツ用具メーカー、ニシ・スポーツ

ニシ・スポーツは、1951年、西 貞一が開業した運動具店から始まる。西自身も陸上短距離200mの選手で1932年のオリンピックロサンゼルス大会に出場した経験もあり、記録の向上を目指す競技者や競技役員の目線に立った器具を開発・製造するという同社の精神の原点といえる人物である。同社では、陸上競技用の用具や器具、時計や計測機器、競技向けウェア、トレーニングウェア、トレーニング・フィットネス用具、ケア用品などを製造している。
投擲器具だけでなく、ハードルやバトン、スターティングブロック、跳躍競技の用具など同社製のあらゆる道具・設備が世界で信頼されている。そしてその多くが、IAAF(国際陸上競技連盟)の承認を受けている。


*写真は本文とは関係ありません。

数mmの違いが競技場では数mの違いにもなり得る


ニシ・スポーツの投擲器具の製造工程は、高度な研究開発の成果と、緻密な職人技があやどる工程である。ここでは、世界シェアトップを誇る同社のハンマーを例にあげる。
まず球体のもととなるダクタイル鋳鉄の材料を鋳型で成形し、既定サイズの球体に削りだす。直径116~117mmの材料から直径110.5mm(規定より下限より0.5mmの余裕を見る)の球形を、数値制御ができるNC旋盤によって切削するが、完全な機械任せにはしていない。一つ一つの製品を職人が目で見ながら、その都度機械のプログラムを補正している。一ロットを20個から30個として作業を行うが、旋盤の刃は1個めと30個めで状態が変わる。切削中の音や、実際の切削面などから刃の状態の変化を確認しながら丁寧に作業は進められている。誤差のない正確な球体の完成は、この変化に気づくことができるかどうかであり、同社の職人の経験やセンス、技術力に依るところが大きいといえる。
削りだされた球体は、中空構造に作られている。同社のハンマーづくりの特に重要な工程が、この空洞にタングステンと鉛を注入することであり、これは注入される材料と合わせ、同社のオリジナルの仕様である。
ハンマー投では、回転の中心から(投擲者)ハンマーの重心が遠くなるほど重心力が大きく働き、飛距離を出すうえで有利になる。決められたハンマーの重さと器具全体の長さの範囲でハンマーの重心を投擲者から遠くするには、ハンマーに使われる金属の密度を上げ、ヘッドの大きさを小さくすることで実現できる。そのために、同社では、比重19.3g/cm3のタングステンを使用している。外側のダクタイル鋳鉄、タングステンと一緒に注入された鉛と合わせ、3種の金属を組み合わせることで、さらに重心を球の中心から数mmほどずらしている。規定では、重心は球の中心から6mm未満の範囲におくことが定められており、規格内で数mmの差をつけることで世界の製品と差別化を図っているのだ。
ハンマーを構成する取手、取手とヘッドをつなぐピアノ線、ピアノ線とヘッドをつなぐ吊管それぞれにおいてもユニークな仕様を実現している。定められたルールの中に最大限の技術と努力を注ぎ込むさまは、競技場の選手さながら勝負にかける熱い思いが伝わってくるようだ。

日本の技術の粋が、国際舞台で空を舞う

実際のところ、遠くへ投げその飛距離を競うというシンプルな投擲競技も、選手自身の身体能力や投擲技術だけの戦いではない。天候、会場の仕様、投擲用具の性能などが勝敗の行方に大きく関わっている。
例を一つ上げよう。1984年、男子やり投の記録がついに100mを超えた。やりの飛距離が伸びると、観客やトラックを走る競技者など会場内の人々に対する危険も増大する。2年後の1986年、国際陸上競技連盟によって、概ね10%程度やりの飛距離が短くなるよう、やりの規格は変更された。重心位置が4cm先端に移され、その結果、規格変更後の記録はそれまでの世界記録から11m後退した。この事実を見ても、用具の性能は記録の向上を目指す選手にとって重要な条件の一つであることがうかがえる。
だからこそ、厳格な規格の範囲内で選手の能力を最大限引き出す用具は、高度なテクノロジーに熟練の人の技が融合した、最高技術の塊となる。

投擲競技はヨーロッパでとりわけ人気があるが、その選手たちに人気のある用具は日本のものである。ニシ・スポーツは、世界のトップクラスの投擲選手たちがこぞって愛用する器具を供給し続けている。同社の用具は、砲丸、円盤、やりと合わせて1985年のユニバーシアード神戸大会以来、オリンピックや世界陸上など、国際大会で公式に採用されている。
通常、大会で使用できる用具はあらかじめ組織委員会が採用した公式用具のみである。選手は、採用された4から6種の公式用具から実際に使用するものを選ぶ。公式用具に採用され続けるだけも製品に対する信頼性の高さがうかがえるが、同社の製品は、選手に実際に選ばれる率も高い。2012年のロンドンオリンピックでは、男子ハンマー投決勝進出選手の77%、女子では31%に、また男子砲丸投げ決勝進出選手の100%、女子では60%に、同社製品が使用された。

同社の絶え間ない技術開発と、日々精進を続ける職人たちの力に、私たちは期待せずにはいられない。2016年のオリンピックリオデジャネイロ大会や2020年の東京大会、さらに世界各地の国際舞台で、同社の製品が大空を舞うことを。

ライター:Hiromi Jitsukata
2016.7.15 執筆
ハンマー
F201 7.260kg
男子一般用
IAAF承認品、JAAF検定品
サイズ:直径110mm
材質:ダクタイル鋳鉄、タングステン入
F241A 6.000kg
男子高校用・男子ジュニア規格品
IAAF承認品、JAAF検定品
サイズ:直径105mm
材質:ダクタイル鋳鉄、タングステン入
F242B 5.000kg
男子ユース規格品、マスターズ規格品
IAAF承認品、JAAF検定品
サイズ:直径100mm
材質:ダクタイル鋳鉄
NF210B 4.000kg
女子一般用、高校用、ジュニア規格品
IAAF承認品、JAAF検定品
サイズ:直径95mm
材質:ダクタイル鋳鉄、タングステン入
NF244A 3.000kg
女子ユース規格品、マスターズ規格品
IAAF承認品、JAAF検定品
サイズ:直径85mm
材質:ダクタイル鋳鉄