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国際宇宙ステーション 日本実験棟 きぼう


概要

国際宇宙ステーションは(International Space Station/ISS)、地球の上空約400kmで地球を周回する巨大な実験施設である。その大きさはサッカー場ほどの大きさで、質量は約420トンである。秒速7.7kmで、90分かけて地球を一周する。ステーション内には6人が滞在し、実験・研究、地球や天体の観測を行っている。
もともと1980年代初期にアメリカが提唱した、大型で恒久的な有人宇宙ステーション計画が端緒となっている。紆余曲折を経ながらも、1999年に組み立てが開始され、2011年7月に完成を見た。1998年の国際宇宙ステーション協定により、アメリカ、ロシア、カナダ、日本、ESA加盟の各国(ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス)の15カ国が計画の参加国に名を連ねている。日本は、開発の当初から、費用だけでなくステーション構成モジュールの開発と運用に意欲を示し、最終的に日本実験棟および補給運搬用機の提供という役割を担うことが、合意文書の中で定められた。以来、日本はISSの開発と運用の一翼を担っている。
現在、このISSにおける日本の基本的な役割は、きぼう日本実験棟の運用と、H-II Transfer Vehicle/HTV(通称こうのとり)の運用である。また、役割分担に対応した宇宙飛行士の搭乗権に基づき、日本はこれまで6人の日本人宇宙飛行士を送り込んでいる。2014年には、若田光一宇宙飛行士がISSコマンダーを務めた。2015年のISS補給機こうのとりの把持の際には、ISS内の油井亀美也宇宙飛行士をはじめ、地上の管制チームでも日本人が活躍しており、人材の面でも大きく貢献してきた。2016年7月には、大西卓哉宇宙飛行士が長期滞在クルーとしてISSに到着している。


宇宙にかける、日本のきぼう
きぼう実験棟は、ISSに結合された、日本初の有人宇宙施設である。ISSの中でも最大の実験棟であるきぼうは、独自の施設・設備を備え、「宇宙医学」「生命科学」「新しいマテリアルや材料への応用科学」「地球および天体の観測」「通信技術」に焦点を当てたユニークな研究が可能である。

日本が宇宙ステーション計画に参加した際に以下の4点の目的が設定された(参照文書:昭和60年4月宇宙開発委員会宇宙基地計画特別部会「宇宙基地計画参加に関する基本構想」)。そして、約30年が過ぎた2016年現在、きぼうミッションを通して日本はさまざまな成果を得てきた。

1 「高度技術の習得」
各軌道上有人施設の開発・運用を通して、国内企業約650社が参加し、宇宙開発利用や宇宙探査に必要不可欠な技術を獲得、また飛躍的に高度化させてきた。以下にその一部を上げる。
  •  システム維持機能技術
  •  宇宙活動のための生命維持技術
  •  ロボット技術(きぼうのロボットアームを通じて)
  •  運用管制員の技量を高める技術
  •  有人施設の運用管制及び支援技術
  •  搭乗員の選抜や訓練のノウハウ
  •  搭乗員の宇宙活動のノウハウ
  •  搭乗員の指揮に関するノウハウ
  •  搭乗員の健康管理に関する技術
  •  有人施設への無人補給技術―ISSとのランデブー技術は高いレベルでの安全性と信頼性を得ている。この技術はISSの表示方式へ採用されている。
2 「次世代の科学や技術の促進と宇宙活動範囲の拡大」
きぼうの利用により、地上では不可能な科学観測や実験が行える、年々需要の高まっている、衛星の軌道投入が行われるなど、宇宙での活動が拡大されている。以下に例をあげる。
  •     船外の搭載装置によるX線天文観測により、新星発見など、国際的な成果を得ている。
  •     きぼう独自のロボットアームとエアロックを活用し、超小型衛星を放出、民間企業や研究教育機関の宇宙活動進出に貢献している。
  •     宇宙空間における健康管理や、地上からも含めたサポート技術を習得しており、今後の有人宇宙活動への展開が期待される。
3 「国際協力への貢献」 
世界との宇宙開発に参加協力することで、宇宙における日本の存在感を高めてきた。参加各極は日本を「信頼できるパートナー」と評価しているといえ、宇宙常任理事国の地位を確立しつつある。以下は実績の例である。
  • 「きぼう」の実験スペースの半分は米国・カナダが利用中。
  • 「こうのとり」は国際的な宇宙ステーション物資輸送機として活躍中。
  • 国際協働による宇宙探査計画の技術検討を進める「International Space Exploration Coordination Group(ISECG)」(14宇宙機関が参加)において、2013年4月まで議長国を務める。
  • 宇宙探査の政策的議論を行う「International Space Exploration Forum(ISEF)」を、2016年または2017年に、日本で開催することが決定。政策レベルでの国際間の枠組み設定・工程表策定において、日本が主導的役割を果たす。
  • 日露でタンパク質結晶生成実験や放射線計測等の実験協力を展開。
  • 飛行士や船外搭載カメラによる地球の災害関連情報を提供している。
4 「宇宙環境利用の実用化促進」
長きに渡る計画の中で、この目標は、「宇宙空間を実用化する」から「宇宙環境は地上での実用化にいたる一過程を担う」という目的にシフトしており、その枠組みの中で、物質や生命などの、科学の本質的メカニズムに迫るような知見を獲得しつつある。以下に挙げるのは実施されている実験の一部である。
  •  タンパク質結晶生成実験
  •  宇宙飛行士の体を使った宇宙医学の実験
  •  動植物の細胞を用いた実験
  •  材料の結晶生成実験

きぼう、未来へ向かう 
ISSの運用計画は当初2016年までであったが、2015年12月、日米両国政府が宇宙ステーションの運用を2024年まで延長することを盛り込んだ合意文書に署名し、日本の運用延長参加が正式に決定した。
現在、民間企業によるISSの商業利用も盛んになっており、きぼうについても、宇宙空間におけるユニークな有人活動拠点としてさらに活用されることが期待されている。2014年時点で、2020年までの展望として、国の科学技術戦略にかかわるテーマ、そして民間企業と、より強力に連携しながら、技術や製品の開発・実証に役立てていくことが盛り込まれている(文部科学省 宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第2回))。これらの取り組みによって、きぼうの実用性・価値をさらに高め、2021年以降はきぼうを社会に不可欠なインフラとして定着させることも述べられている。
今、宇宙というフロンティアに挑む国々が続々と名乗りを上げている。時に熾烈な競争をし、そして互いに協力しながら、人類は宇宙という大海原を少しずつ前進している。このような中で、日本は、国際的にも高い水準の技術と人材を提供し、主導的役割を果たしてきた。
きぼうは、宇宙における日本の国際連携と技術発展の象徴といえる。これからも、人類の未来へ新しい知見とテクノロジー、そして可能性をもたらし、きぼうが私たちをさらなる未来へ導いていくことが期待されている。


ライター: Hiromi Jitsukata
2016.07.25 執筆
実験棟 主要構成要素
*うち一つは当初の計画に変更があり、最初の役割を終えた後、地上に回収
船内実験室
地球と同じ1気圧が保たれ、乗員は地上の普段着と同じ格好で、微小重力環境を利用した実験を行うことができる。23のラックを設置できる仕様で、制御・管理用のシステムラック、実験装置用の国際標準実験ラック、保管庫となる保管ラックなどが設置されている。そのうち、実験ラックは生物実験と材料実験を中心として合計10個が搭載可能。 船内と船外プラットフォームをつなぐエアロックも備えられており、実験装置や交換用の機器が出し入れできる(宇宙服を着た人間の出入りはできない)。ISSの船内から船外にものを出し入れできるロックはきぼうにしかないため、ここで小型衛星放出など、きぼう独自のミッションが可能になっている。
外形 円筒型
直径 外径 4.4m
内径 4.2m
長さ 11.2m
質量 14.8t
搭載ラック数 システム機器用ラック:11個
実験装置用ラック:12個
(実験ラック10個,冷蔵庫ラック1個,保管ラック1個)
供給される電力 最大24kW 120V (直流)

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