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セイコー・グランドセイコー スプリングドライブ8DAYSほか


概要

セイコーは1881年の創業以来、人類と時の関わりの長い歴史に、たびたび金字塔を打ち立ててきた。クォーツショックを引き起こし世界中の時計製造に変革を起こした世界初のクォーツ腕時計アストロンの製造や、機械式・クォーツ式に次ぐ「第3の方式」スプリングドライブの開発などはその代表的なものであろう。オリンピックや世界陸上競技選手権などでたびたびオフィシャルタイマーを担当しており、時計にとって最も重要な正確性という点で、世界トップクラスの信頼を得ている。

ハイブリット型の新たな機構・スプリングドライブ
現在一般的に流通している時計のほとんどはクォーツ式と呼ばれる機構で制御されている。クォーツ時計は1970年代ごろから市場を席巻し始めるが、それ以前は時計といえば機械式時計であり、人間が定期的に手動で巻き上げるぜんまいを動力源として、てんぷもしくは振り子の振動によって時間を制御していた。機械式の機構は今も高級腕時計などで根強く支持されている。
この2つの方式に加えて新たに登場したのが、「スプリングドライブ」と呼ばれる機構であり、セイコーではこれを第3のエンジンと位置付けている。
スプリングドライブを一言でいえば、機械式の動力(=ぜんまい)で駆動し、クォーツ式の振動子(=水晶振動子)で時間を制御する時計である。機械式とクォーツ式を融合することで、電池がいらず、大きなトルクが得られ、かつ高精度な時計(平均月差±15秒)が完成したのである。
1999年に世界で最初のスプリングドライブ搭載製品 7R68が発売され、以降グランドセイコーラインを中心に、搭載モデルを発表している。より複雑なメカニズムである、「GMT」「クロノグラフ」を搭載した機構も実現している。
2016年に発表されたスプリングドライブ8DAYS(品番SBGD001)は、同社のフラッグシップモデルとして新たに製作された。耐久性と実用性、そして高級感をこれまでのモデルからさらに追及し、日本でしか、また、同社でしか実現できない究極の時計を目指している。
・香箱を三つ搭載することで、最大8日間の連続駆動を実現。
・中間車を一切省き、また、香箱をルビーで支えることで、部品と部品の摩擦によるエネルギーロスを軽減させている。省スペースも実現。
・懐中時計並みの極端に厚い地板と受けを採用、受けは複数の部品で構成するのではなく、1枚で成形することで、剛性を高めている。また、一体型の受けは加工精度が格段に高まっている。
・独自の組成で加工した純度950のプラチナをケースに採用。プラチナ950を採用することで、素材の硬化と加工のしやすさが向上。
・さらにこの素材を冷間鍛造することで密度を高め、プラチナモデルの中では堅牢性に優れた製品が完成。
・プラチナ専用のザラツ研磨法を同社で新たに開発し、最高級の滑らかさを実現。
・文字盤の表面には、メッキや塗装の層を重ねるという独自の手法で、ダイヤモンドダストのようなきらめきが生まれている。また、この手法で、視認性に優れる平滑さと、高級感を出すための深みを両立。
・ムーブメントには、工房の所在地である塩尻高原からの富士山と諏訪湖、そして諏訪の街明かりを表現したデザインをあしらい、さらなる高級感を演出

同製品は、セイコーが機械時計の高度技術継承を目的として設立した高級時計専門工房「マイクロアーティスト工房」で、最高峰の技術者たちがおしみなく力を注ぎ、同社の最高水準の技術をふんだんに盛り込んだ製品である。一見するとシンプルながら、使い込めば使い込むほど、いかに贅沢な製品であるかがわかってくるだろう。

一歩先を見据えた開発で時計の歴史を変える
同社のはじまりは、服部時計店という、輸入時計の販売と時計修理を行う商店であり、マニュファクチュールでもエタブリスールでもなかった。時計どころかあらゆる製品が近代工業化の進んだ西洋を追いかけることに必死な時代、国産のものづくりなどは夢のまた夢、それが、服部時計店の生まれた1800年代後半の日本の姿であった。しかし、多くの日本人技師がそうであったように、創業者の服部金太郎はいずれ国産の時計を作るという希望を持っていた。そして創業からわずか11年のうちに、服部時計店はのちに世界を驚愕させるマニュファクチュールへの一歩を踏み出す。1892年、時計製造工場「精工舎」を設立し、壁掛け時計、1895年には懐中時計の製造を開始。輸入時計一色だった日本の時計市場で徐々に頭角を現していった。1913年には初の国産腕時計「ローレル」を完成させた。このころには国産時計の約60%を精工舎製のものが占めるようになっており、中国への輸出も本格化した。
もともと日本の時計産業は水平分業の体制を持たずして始まっており、全ての部品をいかに自社で製造するかが、製品の質と量の向上につながった。そういった条件下で成功してきた同社は、いまや世界でも稀有な「完全に」自社生産が可能なマニュファクチュールである。ムーブメントを含む部品のほとんどを自社生産していればマニュファクチュールであるとみなされるが、同社は、開発、設計、部品製造、組み立て、調整、品質管理まで一貫して自社で行っている。
同社の工場名に掲げた「精巧」を追求し、顧客の信頼を必ず得られる良品を提供し続ける、という信念はもとより、時代の一歩先を見据えて経営と開発に取り組む同社の姿勢によって、極東の一時計店は、世界に名だたる時計メーカーに比肩する企業へと発展していった。

人類の進化を記録する・オフィシャルタイマー
同社が手掛けた日本初や世界初の製品、あるいはそれに準ずる世界基準の成果は多数あるが、同社の名前が世界の人々の記憶に深く刻まれることとなった出来事が、「クォーツショック」と1964年の東京オリンピックでの公式時計であろう。この2つの出来事は密接に結びついている。
1959年、敗戦の傷も深い当時の日本は、それでも復興の歩みを着実に進めており、この年、1964年のオリンピックが東京で開催することが決定した。国際社会への復帰を掲げ、組織委員会が「国産品のオリンピック」をテーマに掲げたとき、当時の社長である服部正次は、競技運営のかなめのひとつである公式時計やその他の計測器具を手掛けようと手を挙げた。
スポーツ専用のストップウォッチを製造したこともなかった同社に与えられた時間はわずか数年。1961年から、グループ会社3社が分担し、海外の視察、スポーツ団体への相談、他社製品を分解しての研究などを重ね、試行錯誤を重ねた。命運を分けたのは1962年、IAAF(国際陸上競技連盟)のテクニカル・コミッティであった。この会議において同社の時計は検定を受け、高い精度で全てのテストをクリア、陸上競技の国際大会で公式時計として使用できるものとして承認を得た。どのくらい精度が高かったかというと、当時は「ストップウォッチの計測には誤差が生じるもの」と考えられていたが、検定では、全てのテストにおいて0.1秒の誤差も生じさせなかったのである。その後、同社製のストップウォッチは様々な競技会で活躍し、1963年に至って、東京オリンピックの公式時計として採用されることが決定した。それまで30年近く変更されなかったオリンピックの公式時計の歴史を変えた決定であった。
オリンピックでは、ストップウォッチのほか、後のクォーツ式腕時計に連なる卓上小型クリスタルクロノメーター、自動記録機能付きの計測機「プリンティングタイマー」、大型表示装置など36機種1278個に及ぶ機器を提供し、延べ172名の人員が稼働した。同大会は、衛星技術によって世界に大会の様子が中継された初めてのオリンピックでもあり、各時計に銘打たれたSEIKOの文字は、選手が生み出す栄光の記録とともに、世界中の人々の眼前で輝いていたことだろう。

世界を震撼させたクォーツショック

同社におけるクォーツ時計の開発は、もともと世界的な時計開発競争が背景となって始まった。二度の大戦を経て、腕時計は急速に普及し、世界の時計メーカーが精度の向上と小型化にこぞって挑むこととなる。クォーツ時計自体は、1927年にアメリカのベル研究所で制作されており、研究機関や放送局でわずかに利用されていた。セイコーでも1958年に、放送局用の水晶時計を開発・納品しているが、これらのクォーツ時計はみなタンスや大型ロッカーほどの大きさがあった。1959年に設置された社内プロジェクトで、同社はクォーツ方式の集中的な開発を決めた。ここに、東京オリンピックでの公式時計採用を目指す動きが重なり、技術水準の達成と小型化が精力的に進められた。
1964年に東京オリンピックにクリスタルクロノメーターを納入したのち、1966年に懐中型、1967年に腕時計のプロトタイプが完成、そして1969年に世界初のクォーツ腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」を発売した。
それまでの機械式時計は、一日で数秒から数十秒の誤差が生じていたが、クォーツ時計は、月あたりあるいは年単位での誤差発生であり、精度の差が歴然としている。その構造から理論的に導き出される精度の差は、単純に3,000倍以上である*。また、電池で駆動するので、機械式時計のように毎日ゼンマイを巻き上げる、という作業が不要となる。
同社は特許を公開したため、各メーカーがクォーツ時計の生産に乗り出した。その結果、機械式時計よりも安価で精度の高いクォーツ時計はあっという間に市場を席巻、機械式時計はたちまちのうちに駆逐されてしまった。1970年代に入ってから、1990年を迎えるまでに、スイスの時計メーカーにおける雇用者は、90,000人から28,000人まで実に3分の1以下に減ってしまった。
これが、「クォーツショック」といわれるゆえんである。

時計の精度を決める主要な部品が振動子であり、この振動数が大きいものほど完成品の精度も高くなる。クォーツ式腕時計が誕生したころ、最新式の機械式時計は振動子の振動回数が毎秒10回であった。これに対し、クオーツアストロンの水晶振動子は、毎秒8,192回で、その後、3万2,768回へと高められた。この振動数が現在のスタンダードとなっている。

ライター:Hiromi Jitsukata
2016.8.8 執筆
https://www.seiko-watch.co.jp/news/baselworld/posts/527/20160317
( セイコーウオッチ株式会社・製品紹介  )
http://www.seiko-watch.co.jp/gs/collection/sbgd001/
( Grand Seiko Spring Drive 8day  )
グランドセイコー ・ スプリングドライブ 8DAYS 品番 SBGD001
ケース プラチナ950(りゅうず含む)
バンド クロコダイル(黒)
プラチナ950製ワンプッシュ三つ折れ方式中留
国内取扱店 セイコープレミアムサロン(2016年3月現在31店舗)およびセイコープレミアムブティック
商品仕様
ガラス材質 ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)
裏ぶた サファイアガラス(シースルー・スクリューバック)
防水性能 日常生活用強化防水(10気圧防水)
耐磁性能 耐磁時計(JIS耐磁時計1種)

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