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株式会社安川電機・ACサーボモータ、インバータ


概要

21世紀に生きる私たちにとって、メカトロニクスという言葉は何度も耳にする言葉である。では、この言葉が、1969年に日本の企業によって提唱された言葉であることはご存じだろうか。
メカトロニクス、すなわちMechanism(機械)とElectronics(電気・電子工学)の合成語は、複雑な仕組みを持つ機械を、電気によって制御する、という概念である。提唱したのは、産業用ロボットの世界的な企業である安川電機。1971年1月に商標登録されているが、その後同社が商標権を放棄したため、実際の技術の発展とあいまって広く海外に普及するようになった。
現在、私たちの身の回りでは、あらゆる製品が電気によって動き、制御されている。「メカトロニクス」技術の恩恵である。

メカトロニクスの生みの親である安川電機は、1915年、炭鉱で使用する電気用品の受注製造を行う企業としてスタートした。当時日本の電気機器はほとんどが欧米の輸入品である。国産の技術で欧米製品に匹敵するものを製造しようという同社の気概は、時代の先端をいくものであった。世界を見据えた企業姿勢は、現在では、製品開発における「世界一・世界初へのこだわり」へと進化して脈々と受け継がれている。

サーボモータ
サーボモータは、自動化された機械にとって、手足ともいえる要素である。
同社では1960年ごろ、サーボモータを中核事業の一つに位置付け、開発に力を注いだ。このときの成功は、同社をモーションコントロールの世界トップメーカーへと飛躍させるきっかけとなっている。特に、同社製のサーボモータの中でも、ACサーボモータは世界シェアトップを誇る。
もともとは炭鉱で使われるモータの製造に始まって、様々なモータを製造してきた。半導体製造産業が登場し、また、製造業の電動化・オートメーション化の機運が高まる中、より小型で小回りのきくモータが求められるようになって、同社が生み出したのがミナーシャモータやプリントモータである。同社の技術者によるユニークなアイディア*と試行錯誤が、世界のどこにもないような形状のモータを生み出した。細長いミナーシャモータ、ディスク状のプリントモータは、OA機器や自動車の電装品など、それまでサーボモータが用いられてこなかった分野へ応用の途を拓いた。もちろん、形状だけではなく性能もそれまでのものに比べれば大幅に向上している。
現在同社の主力製品となったACサーボモータは、先行していたDCサーボモータのメンテナンス性の向上と高速化を目指し、1982年から開発がすすめられた。1984年にはサーボモータと制御装置をセットにしたACサーボドライブを発売、1992年には、常識を超えた小ささ、速さ、精度、そして使いやすさがコンセプトのΣシリーズを発売し、同社のACサーボドライブは市場での地位を飛躍的に伸ばした。
2013年に発売したACサーボドライブΣ-7シリーズは、「7つを極める」をコンセプトに、順調に受注を伸ばしている。

*ミナーシャモータは、ある技術者が、彼の娘の描いた梅の花を見たときのひらめきから生まれている。それは、花芯を回転子に、花びらを動体に見立て、「動体をじかに回転子の上に置く」というものであった。実に革命的な発想であった。新しいモータは、回転子の直径が小さくなり、また構成部品を減らしたことによる軽量化で、慣性が小さくなった。そして、当時のモータの100倍の応答特性(制御性)が実現した。

インバータ
インバータは、シンプルにいえばモータの回転数を制御する装置である。この装置があるかないかで、製造業の生産性や省エネルギー性は大きく変わってくる。したがって、開発にあたっては、生産の効率化に加え、エネルギー規制への対応など社会の変化にもきめ細やかに応じる必要がある。業種に合わせて顧客の要望も多岐にわたるため、多種多様な技術の開発が求められる製品である。
同社の創業直後は、会社の発展のために「電機に関することなら何でもやる」、という挑戦の連続であったという。同社がインバータ事業で世界シェア一位の地位を築いたのは、同社の歴史の中で培われたカスタマイズ志向の開発姿勢の賜といえよう。同社の挑戦は、数々の「世界初」も実現してきた。
1974年 世界初のトランジスタインバータ VS-616T
1979年 世界初のベクトル制御トランジスタインバータ VS-626TV
1985年 世界初のデジタル制御 VS-616HII
1988年 世界初の低騒音インバータ(世界初のIGBT駆動により実現)VS-616GIILN
1995年 世界初のベクトル制御インバータ VS-616G5
2007年 世界初マトリクスコンバータ Varispeed AC
2015年には、社会の変化と顧客のニーズにより細やかに応えるべく、インバータシリーズの刷新を発表、今後、産業用汎用製品と、用途別の高付加価値製品を順次発売していく。
新シリーズのコンセプトは「多才」「使いやすさ」「安心」。2016年4月には第一弾として、産業用汎用インバータGA700を発売した。

100年後の世界基準を作る
同社は2015年に創立100周年を迎えた。そして、次の100年に向かって発展していくための、最初の10年のビジョンとしてVision2025を掲げている。そこでは、同社のコアであるメカトロニクスに加え、ヒューマトロニクスとクリーンパワーの3つの事業領域を柱に据えている。従来からの産業現場向け製品をさらに時代の最先端へと発展させていくことはもちろん、医療・福祉市場やエネルギー市場でも新たな製品と新たな価値を生み出していこうとしている。
同年6月には、本社事業所を「ロボット村」としてリニューアルした。ロボット村には本社棟および工場に加え、同社に関する博物館、憩いの公園やカフェテリアもあり、地域の人々にも開放されている。ものづくりの「楽しさ」と「すごさ」を多くの人に知ってもらう、ものづくりの未来・ロボットの未来を、市民と企業がともに創り上げていく、というコンセプトが体現されている。
創業以来の100年の間、メカトロニクスというコンセプトをはじめ、さまざまな世界基準を送り出し、私たちの生活を変えた安川電機。100年後の社会でも、同社発の世界基準が私たちの暮らしを豊かにしているだろう。


ライター:Hiromi Jitsukata
2016.8.16 執筆
ACサーボドライブΣ-7シリーズ
「7つを極める」
1.「装置性能を極める」 装置の性能向上とスピードアップ
2.「使いやすさを極める」 同社オリジナルの「調整レス機能」が進化し、チューニング作業なしで安定した動作が実現
3.「環境性能を極める」 海外や過酷な使用条件での対応をクリア
4.「安心を極める」 国際的な機能安全規格IEC61508 SIL3を取得
5.「サポートを極める」 スマートフォンアプリ、クラウドデータ、QRコードなどで、製品管理情報や保守作業が簡単
6.「ラインアップを極める」 ネットワークやパートナー製品が豊富で、思い通りのシステムを構築
7.「互換性を極める」 従来製品との置き換えが容易
インバータGA700
「多才」
・各種のモータに対応が可能で、かつ高いパフォーマンスを見せる。
・新しいモータ制御技術「MTPA制御」(負荷に応じて電流が最小となるポイントを追従する)でモータ効率の最大化を実現、さらなる省エネへ貢献する。
・インバータ本体に周辺機器の機能を取り込み、省スペース・省配線・省力化を実現、初期投資のコストダウンに貢献する。
・主要な産業用ネットワークに対応が可能なオプションカードをそろえ、IoT化に対応。様々なデータのモニタリングも可能になった。
・プログラミングツールが搭載され、パソコンのドラッグ&ドロップ操作で簡単にインバータをカスタマイズできる。
「使いやすさ」
・まったく新しくなったキーパッドと、対話方式によるウィザード機能で、セットアップとダウンタイムが大幅に短縮されている。
・スマートフォンアプリやパソコンのサポートツールで、インバータの調整、保守、メンテナンスなどのサービスが簡単に素早く提供する。
「安心」
・国際的な規格に適合、様々な国や地域に対応できる設計。
・突然の電源異常へ対応する各機能が搭載。
・長寿命設計、また、寿命予測診断機能が、寿命部品のメンテナンス時期や劣化状況を的確に診断する。
・回生エネルギーの有効利用ができる設計により、熱の発生が最小限に抑えられている。