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古河電工・HDD用アルミニウム合金製ブランク材


概要

1990年代以降、パーソナルコンピューターが飛躍的に普及し、それにともなってパソコンハードウェアの部品も生産数は年々高まっている。
そのような部品の一つに、記憶媒体であるハードディスク装置(HDD)がある。
新興国ではパソコンの購買力が旺盛であり、またすでにパソコンの普及している地域でも、買い替え需要は依然高いため、HDDの需要も高まっている。
また、近年の情報の大量化により、HDDは小型かつ大容量のものが求められ、HDDの高付加価値化も今後更なる発展が期待できる。

この、HDDの要は、記憶媒体となる磁気ディスクである。今回紹介する古河電工は、この磁気ディスクの基板となる、アルミニウム合金ブランクでシェア約50%を誇る企業である。
完成品では目に触れることがない部品だが、世界中の多くのコンピューターが古河電工のアルミ合金ブランクの上に情報を記憶しているのだ。
主にデスクトップパソコンに使われてきたアルミニウム合金基盤は、近年ハードディスクレコーダーなどの家電にも使用されるようになり、その用途は広がっている。
世界中で高まるHDDの需要に、古河電工は大きく貢献している。


磁気ディスク基板の製造

磁気ディスクは、アルミニウム合金のコイルを、ブランク材となるドーナツ状の円盤に加工し、切削、研削、めっき加工に研磨を加えて表面に膜を形成する、という手順で製造される。
同社では、まず、ブランク材に加工するための専用のアルミニウム合金コイルを製造し、さらにそれをブランク材に加工する。このブランク材が世界中のハードディスク装置メーカーに供給されているのだ。

磁気ディスク基板には、次のような特性が求められる。すなわち、
(1)非磁性であること
(2)高速回転に耐える合成を有すること
(3)平坦度が良好であること
(4)スパッタ後の表面に影響する欠陥がないこと
(5)軽量であること
(6)耐熱性を有すること
(7)耐食性を有すること
(8)表面研磨加工性が良いこと
である。アルミニウム合金そのものの特性と、古河電工の高い製造技術によって、これらの特徴は最大限までに高められる。ここではその製造技術の一部を紹介する。

高精度の平坦加工

データを読み書きする磁気ヘッドは、高速で回転する磁気ディスクとの間に出来る空気の流れでわずかに浮上し、隙間を作るように工夫されている。したがって、磁気ディスクが平坦であればあるほど、磁気ヘッドは安定して浮上していられることになる。同社では、高精度の平坦度を得るため、ブランク材に加工後、高精度のスペーサでブランク材を上下から挟み、加圧焼鈍している。わずかなうねりや板厚のゆがみが、ブランク材の平坦度に大きく影響するため、圧延工程の管理も慎重に行っている。


エラーを生じさせない高品質材料

材料となるアルミニウム合金中に、不要な金属間化合物や非金属介在物が混じっていると、微小な亀裂、凸状欠陥、へこみ状欠陥が生じ、磁気ヘッドの衝突や、読み書きエラーの原因になる。近年の磁気ヘッドの浮上は、ディスク表面から0.01μmというものもあり、小さな欠陥でもエラーを引き起こしてしまう。
これらのエラーを回避するために、金属間化合物や非金属介在物の除去には細心の注意が払われている。

金属間化合物に関しては、高純度地金を使うことでAl-Fe系晶出物を規制し、さらに、均質化処理、熱間圧延温度の制御により、Mg-Si系析出物を抑制している。また、鋳造時の溶湯処理により溶湯から分離したのちに、セラミックチューブフィルターによる濾過を行うことで、非金属介在物の除去を徹底している。
このような技術により、同社のブランク材は世界最高クラスの品質を達成している。


さらなるブランク材の需要増大に向けて

デジタルハイビジョン放送のための大容量レコーダーの需要増大、インターネットテレビの増加にともなうHDD内蔵テレビの増加、各家庭へのホームサーバーの普及など、メディアのデジタル化・多様化により、データの精緻化、大容量化は進んでいる。高容量のデータ取り扱いは、現時点ではHDDが最も適しており、今後も高付加価値化されたHDDの開発、普及が進むであろう。あわせてブランク材の需要も高まり続けるであろう。さらに、映像データを扱う携帯プレーヤーの普及に伴い、小型HDD用の小型のブランク材の伸びも期待されている。
このような、HDDの今後の需要増大に対応すべく、同社はアルミニウム合金ブランクの更なる開発に力を注いでいる。

また、同社は2010年度より、ガラス製ブランクの製造にも参入した。
ガラス製ブランクは、高い硬度・剛性から耐衝撃性に優れ、ノートパソコンやカーナビゲーションシステム等の携帯機器に使用される。2011年の時点で、同社はアルミ製、ガラス製双方のブランク材を製造販売している世界唯一のメーカーである。
今後はパソコンだけでなく、世界中の携帯機器においても古河電工のブランク材が活躍するであろう。



ライター:Hiromi Jitsukata
2012,03,14 執筆

http://www.furukawa.co.jp/
( 古河電気工業株式会社 )
ディスク基盤用アルミニウム合金素条FP-3
引っ張り強さ 250N/mm2
耐力 120N/mm2
伸び 23%
硬度 60Hv
比重 2.65
ヤング率 72KN/mm2
熱膨張係数 24.2×10-5/℃

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